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November 01, 2017

1.孫【犬食べる作】

 私には息子がいる。息子は社会人で、私は息子が育った頃にはすっかり年老いてしまっていた。
「お父さん、久しぶりに腕相撲しようよ」
 ある日息子にそんなことを言われる。昔なら勝てただろうが当時に比べてすっかり腕が痩せ細ってしまった私が息子に勝てるだろうか。
「どれ、やってやるか」
 しかしせっかくの息子の頼みだ。私は突き出された息子の手を握り勝負を受ける。ギュッと握られた息子の手から伝わる力は、幼かった息子を知っている私には想像も出来なかったほどたくましかった。
 はたして私がこの息子に勝てるだろうか。
 だが、年老いたとはいえ父親としては息子には負けられない。心の中で静かに、だがしっかりと闘志が燃えたぎっていた。
「手加減はせんからな」
「本気でいいよお父さん」
「こしゃくな」
 小言を交わらせつつ右手と右手を握り合わせ、やがて勝負の合図。一気に力を込めて息子の手を下に下にと押しつぶそうとする。
「ふんぬぬぬ!」
「く、ううぅっ」
 勝負は互角。いくら社会人になった息子とはいえ私も父親。息子には負けていられない。
「く、ううぅっ!」
 横一線だった勝負が続き疲れてしまったのか一瞬だけ息子の手が緩む。
 私は父親としてその瞬間を逃さない。
「フンッ!」
「ああぁっ!」
 息子が気を抜いた刹那、私は全力で息子の手を倒して勝利をもぎ取った。
 私の勝利だ。
「ああぁ……負けちゃった。やっぱりお父さんは強いね」
 そうだ、父は強いのだ。
「まぁな」
「じゃあ次は僕の息子……お父さんの孫と戦ってよ」
 な、何だと。
 そう息子が告げて出されたのは私の孫、まだ赤子のかわいい孫。
 孫と手を握りあわせ勝負をしたが当然負けてやる。
「やっぱり坊やは強いでちゅね~」
 ああ。息子よ。
 君の息子、孫には私は勝つことが出来ないのである。

【了】

November 01, 2017

2.ハメ・ドリ

僕が力を得た時はもう時すでに遅かった
腕を縛られ5感をアイドリングされていたのだ、
「夏が恋しいか?お前の魂はそんなものか」
おずおずと、空が緊縛していく、空気は張りつめていない、空を緊縛するなんて何様だ
「僕の力じゃ確かに君には勝てないよ、でも、しかし・・・」
思うところはあった、僕が何をしても親父の緊縛ソウルには叶わないって、だけどそれでも僕は勝ちたい、だから禁断のハメ・ドリ魔法を発動した
「・・・なんだそれは、その程度の英欲で私に挑もうというのか!!!愚かな、緊縛してくれるわ!!」
誰もが世界が緊縛されると思った、
その時だった!!
「君の息子は強いよ?」
その謎の存在は、空をハメ・ドリにし始めた。
「私の、私の緊縛が・・・・」
さっとお辞儀する好青年
「初めまして、僕は未来から来た君の息子、ハメ・ドリの真意を見せびらかしに来たのさ」
ドッ!会場は盛り上がりを見せる
これが親子の戦いの絆なのか・・・?
「違う!!!僕は認めないぞ!!!」
「過去の僕は良く吠えるな~?ハメ・ドリ対決でもするかい?」
「望むところだ!!僕のハメ・ドリ!!を見ろ!!」
しかし空は未来の僕のハメ・ドリのままだった
「残念、君の息子は弱いねえ」
「ぐぬぬ、緊縛したい」
悲しみとともに水曜日は過ぎていく
また明日もこんなしょうもない日が続くのだろう。
なおこの日は「ハメ・ドリ・プラネタリウム」と名付けられたらしい、笑っちゃうね。

November 01, 2017

3.屑鉄

-屑鉄の山から拾い上げた君の息子は、屑鉄よりも冷たく硬くなっていた-


遡ること2時間前
君は僕の部屋に慌てて入ってきてこう叫んだね
「ター君が、息子がいないの!」

人さらいか。正直、この町では珍しい事ではない。
3年前、ボンボンと金の亡者のたった二人ぼっちが気まぐれで起こした核融合により、
世界の人口の70%は消し飛んでしまった。
荒れ果てた大地で、人間は5段階の欲求を一番下まで下げてほそぼそと生きていた。

生きるために食べる。食べるために生きる。
どっちがどっちかわからないようなこの世界では、人さらいによる金銭の強奪は生きるための手法の一つに過ぎない、という感覚さえ広まっていた。
生理的欲求を満たすためには、金が一番手っ取り早いからな

「最後にター坊を見たのはいつだい?」
「午前中、空き缶を拾いに行くって行ったきり、戻らないの」
「空き缶?じゃあ廃工場だろう。あそこなら行って戻ってくるのに半日はかかる。もう少し待ったら腹を空かせて戻ってくるだろう」
「そこには旦那が探しに行ってるけど、さっきいないって連絡が・・・。わたし、ター君がいなくなったら、いなくなったら!」
「まあ落ち着けって、廃工場までの道に湖畔があったろ?あそこは道が狭い。落ちたかもしれないな・・・」
「そうね、探してみるわ・・・あと、屑鉄広場も探しに行ってみるわ!あの子、あそこでお宝を探すんだって騒いでいたから・・・」
「わかった。じゃあそっちは俺が見てみる」

俺は慌ててバイクを屑鉄広場に向けて飛ばす。バイクから出る排気ガスはこの世界の空気よりもきれいなんじゃないかと思えた。

「よかった。まだ見つかってないようだな、さて、場所を変えなきゃな」

屑鉄の山から拾い上げた君の息子は、屑鉄よりも冷たく硬くなっていた。
ちょうど食べごろだ。
俺にとって、生理的欲求を満たすのに金なんかいらない。
いい時代に生まれたもんだと、俺は思う

November 01, 2017

4.ストーカー

「君の息子元気かい?」
 俺に向かって突然なんて口をきくんだこの女。
「……あっはい」
「ふーん……」
 女は俺を真正面に見ながら笑顔で相槌を打つ。俺は内に隠した相当な怒りを抑え、彼女を見るしかない。
「そういや、今日誕生日だったよね?」
「えっ」
 あっけにとられ言葉を失う。確かに今日は俺の誕生日だ。
「はいプレゼント!」
 女は俺にプレゼントを渡す。大きなリボンで結んである小さな袋だ。
「まぁ、別に期待しなくていいから」
 彼女はそういうとすぐさま席を立った。お会計と書かれた紙を持ち、そのままスタスタと俺の横を通り過ぎる。俺はあっけにとられてその様子をただ眺める。
「はい!」
 レジで俺の分の代金を支払い彼女は店を出ていく。
「なんだこれ……」
 俺は釈然としないままただ茫然とするしかなかった。知らない女に誕生日プレゼントを渡され、自分の食べた代金を奢られたのだ。しかも俺の息子のことも知っている。これがストーカーか。 おしまい 

November 01, 2017

5.ウリ専少年

人肌恋しくなり出会い系サイトでウリの青年を買った。
その青年はメールの文面とずいぶんイメージが違っていて、
男が好きなわけでもセックスが好きなわけでも、お金に困っているようにも見えず、
行為後ぼんやりと虚空を見つめていたことが印象的だった。
翌日からまた仕事が始まる。私は私立高のカウンセラーとして生徒の相談室を受け持っている
教職に関わるような仕事をしていて学生に近い年齢の青年を買うことに罪悪感がないわけではない。
ただ、多感な時期に複雑な思いを抱えた少年の力になりたいという感情と近い場所に触れ合いたいという感情が存在するのだ。
どう言い訳しても犯罪者であることには変わりないが、それでもまだ未熟な子供たちを救いたいという思いから仕事を変えられずにいた。
朝9時に相談室のカギを開けようと教室に向かうと扉の前に教師が待っていた。
たしか、三年生を受け持つ国語教師だったはずだ。
正直言ってこの相談室に来る客は生徒よりも教師の方が多い。悩みごとの相談ではない。学校行事への参加の誘いや
日常的な業務連絡で、つまりは悩める少年少女はこんなところにいるよく知らない大人に悩みを打ち明けたりはしないわけだ。
私はいつもの業務連絡かと思い、教師に声をかけた。
「お待たせしてしまったようで申しわけありません、業務連絡ですね、お時間がありましたらコーヒーを用意しましょうか?」
国語教師はこちらを振り向くと白髪交じりの眉を悲しそうに下げて、
「いいえ、今日は個人的な相談に参りました」と力のない声で答えた。
下校時間になり、私はどうしたものかとソファに座って途方に暮れていた。
国語教師の相談内容は確かに少し年老いた教師の手には負えそうもない内容だった。
国語教師には15歳の息子がいて、家庭内でも優等生な彼が学校をさぼり売春行為をしていたらしい。
それは最近やりはじめたものではなく、数年前から何回もやっていたことだったのだという。
教師は息子に激しく怒りたいと思ったのだが、ここまでの事をやっているとは露とも思わず、
どう叱っていいかさえ分からなくなってしまったというのだ。
壮絶な内容にも頭を抱えたが、問題は相談者が父親という立場にあることだ。
性の悩みや売春に関する悩みを生徒に相談されたなら、私がその話を聞いてあげることで、どういう方向であれ少しでも力になれるかもしれない
だがそのような少年に父親がかける言葉なんてものは基本的には存在しない。
同性愛であったらなるべく受け入れてあげるようにだとか、売春行為に関して自分の体を大事にするように諭すだとか、
一般的に比較的マシである声かけならばこういったものだろうか。
だが、表面上に問題を噴出させたわけでもなく、何年も売春を隠し続けた彼が今更父の言葉に耳を貸すだろうか。
国語教師には必要以上に刺激しないように、よければ今後も話をしに来てほしいと話したが、
ここまでの状況になってしまうと誰も助けられる状況にないだろうと思う。
それでも、できうる限り悲しい状況にはなってほしくない。
私はサボりがちだった相談室の掃除を丁寧に行い、少しでも気合を入れなおそうと思った。
次の週、国語教師がまた相談室を訪ねてきた。
飽きた

November 01, 2017

6.ウリ専少年完全版

なんとなく男子高校生を買った。
な、なんと勤めている教師の息子じゃないか!
教師から直接会ってほしいと言われ窮地に陥った俺は
面会の日の前に出会い系サイトで息子と直接対決することにした!
捨て身でなんか説得しようと思ったけどなんかセックスの流れだ!
けど振り切った!
息子はなんか自分の事とかどうでもよくて自傷感覚で売春してたらしい!
良くないよそれは良くない!
けど俺も昔そんなだったからなんもいえねぇ!
けど自分を大事にしてくれよ頼むから!
しかし息子は俺が恋人になってくれないなら死ぬって言って断ったら死んだ!
死のうかな?つらいわつらい

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